Gallery花影抄は Tea Room に併設した解放的な空間です。
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『飛騨高山一位一刀彫根付展』
飛騨一位一刀彫師 津田亮友 他
2005年5月17日(火)〜29日(日)
定休日:月曜日
  ●ご挨拶
 このたび、津田亮友さん、亮佳さんの作品を中心に、飛騨高山の一刀彫師の手による「根付」の展覧会を開催させて頂く運びとなりました。江戸時代に活躍した一位一刀彫の開祖ともいうべき、名手「亮長」が残した作品をご存じの方も多い事と思います。その意匠のデザイン力は、百年の昔のものでありながら、現代においても尚、斬新な印象を私たちに与えてくれます。
 今回の展覧会では、そうした飛騨一位一刀彫の「伝統的」なもの、そして現代の彫師の「今」を反映したものとふたつの「飛騨根付」の顔を見ることが出来ると思います。伝統的な一位材を用いたものと、堅牢なナツメ材などを用いた作品、二十数点が出品される予定です。亮長の残した一位一刀彫根付「金魚」や「亀」などの復刻も並びます。
 根付愛好家の方々にも、初めて根付に触れる方にも、お楽しみ頂けることを願っております。
●飛騨高山一位一刀彫根付展によせて(根付愛好家 嶌谷洋一)  
 飛騨は、東を飛騨山脈に西を白山山脈に囲まれ、その重層たる山々に因って育まれた天然の良材が、木工を発展させて多くの匠を輩出してきました。飛騨の名産一位一刀彫の起源は『根付』にあると聞いています。その特徴は、鋭角なる刀痕と経年に由る味わい深い光沢にあります。明治時代以降の服装の変化に因って、実用としての『根付』は忘れられましたが、一位一刀彫の『根付』は、愛玩すべき掌中の珠としての役を得て、現代に蘇りました。現在、東京(大手町)の逓信博物館には、江戸時代の飛脚が使用した松田亮長作の兎の根付が展示されています。
 一位一刀彫の始祖である松田亮長の流れを今に受け継ぐ飛騨の一位一刀彫師たちは、その原点を見直しつつ、新作に挑戦しています。
 これからの新たな一位一刀彫根付の展開に大いに期待したいと思います。
  ●伝統
 飛騨高山の根付のルーツは、江戸時代の末期にさかのぼります。高山出身で、江戸で根付師として活躍した平田亮朝、そして、彼に弟子入りをした江黒亮春、中村亮芳、松田亮長。この4人の彫り師達が、源流となりました。中でも、松田亮長は、特長のある一位一刀彫をあみだした天才的な彫り師として、その名を歴史に刻んでいます。
 亮長が、どのようにして一位材を用いた「一位一刀彫」という作風を生み出すに至ったのかは諸説あるようですが、旅先で見た「奈良人形」の刀痕を塗り込めてしまう濃い着色から影響を受けたのではないかと言われています。
「奈良人形」とはまったく逆の発想で、木材そのものの美しい木目や彫り跡を活かした作風を追求した結果、飛騨の銘木「一位の木」の天然の木目や色合いを存分に活かす「一位一刀彫」にたどり着いたもののようです。
 亮長は、蛙や蛇、亀などの小動物から人物の題材まで、幅広く彫刻していますが、主に黄楊などの固い材を使った写実的な作品と、一位材を使い対象を極限までシンプルなフォルムで捕らえ「面」と「線」で構成した作品と、二系統の作風を残しています。
 亮派と呼ばれたりもする彫刻師の流れは、脈々と現代に続いています。江戸に始まる伝統が、今日なお受け継がれていることは、大変貴重な事です。
●素材・・・銘木「一位の木」
 一位(イチイ)は、イチイ科に属する常緑樹で、別名アララギとも、水松樹とも言います。古くから銘木として知られ、その昔、イチイの木で作った笏を朝廷に献上したところ、他の材で作られた物より美しく、質も高かった事から「正一位」という最高の位を賜り、それから「一位」の字を当てるようになったと伝わっています。
 材質の特徴としては、樹皮の内側約1cmほどの厚みに「白太(しらた)」と呼ばれる白い部分があり、あとは芯まで「赤太(あかた)」と呼びます。白太と赤太の区別が美しく、作品に上手く活かすこともあります。木目が細かく、油分、タンニンが多く含まれています。木に含まれる成分の特質によって、「一位一刀彫」の作品は、年月が経つにつれて、色合いが濃く深くなり光沢も増してきます。(空気に触れさせておく事が必要です)百年近い年月を経た「一位一刀彫」の根付の持つ、艶と色、存在感は見事というほかありません。
 その他、一刀彫の作品には、カツラ・マユミ・桑・ナツメなどの素材も使うことも、最近では増えてきました。
 
【出品作家】飛騨一位一刀彫師
 亮友・亮佳・亮次・泰之・刻正・公之・昌広・介之
【参考文献】  
『数百年の生命を、彫る。飛騨一位一刀彫』飛騨一位一刀彫協同組合
『根付の雫』日本根付研究会
                   
 
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