佐々木泰宏 根付展

2008年11月1日(土)ー11月9日(日)

ご挨拶

 このたび、ギャラリー花影抄では、現代根付作家の佐々木泰宏を迎え「佐々木泰宏 根付展」を開催させて頂く運びとなりました。作家にとっては、初の個展開催です。
 『根付』と聞くと、多くの方々にとって骨董品の根付が、まず脳裏に浮かぶと思いますが、泰宏の制作する根付は、昔ながらの「根付」のイメージを大きく覆すものです。いわゆる「古根付」の愛好家の方からは、戸惑いの声があがるかもしれません。しかしながら、根付作品の魅力が、今を生きる鑑賞者の手の中で、触れられ、転がされる中で発揮されるものであるとするならば、作品の題材は「今のもの」であったほうが、見るものに訴えかけるのではないか。泰宏がモチーフに選ぶのは、イギリスの有名なデザインの車であったり、カメラであったりします。作品から受ける印象は、非常にカラッとした空気感です。そのことは、泰宏がモーターショーなどの展示会場のデザインなどの仕事に長く関わってきたことと、無関係ではないでしょう。作品の持つ風通しの良さのような感覚は、そんなところからくるのかもしれません。
 昔の根付も、その時代の空気を反映したデザインのものも多く作られています。今回の展覧会に並ぶ根付作品の数々が、「今」という時代と繋がるものであり、それが「今を生きる人」との心地よい接点となることを期待します。

花影抄 橋本

作家の言葉

 わたしは根付を始めて6年になります。2003年6月東京渋谷の[たばこと塩の博物館]で開催された『高円宮コレクション』ではじめて根付と出会いました。それまで全く根付を知りませんでした。翌7月からカルチャーセンターで制作を学びはじめ今日に至っています。最初からプロになりたいと想いながら続けてきました。まだまだ未熟ではありますがこうして作品を発表できる機会を与えられたことをすべての関係者の方々に感謝いたします。
 現代、根付は実用としても使われますが主として観賞用アートして求められています。実用としての機能さえ満たせば表現は全くの自由です。材料素材も大きさも表現内容も自由で実に懐の深い表現範囲を持っています。世界に類を見ない日本オリジナル芸術文化です。欧米では明治維新後に輸出された根付がNETSUKEとして広く知られ主たる美術館には数多くの作品が収蔵されています。今も多くの個人コレクター、またSocietyがあります。そして世界各地にNETSUKE作家が育っています。私たちが創っている現代根付が新しい時代のニーズをとらえ日本においても世界においても感動を与えつづけたらと考えています。