戯れの時を刻む ー野垣内秀也 根付・木彫展

2009年5月2日(土)〜17日(日)
13:00 〜 19:00 (最終日〜17時)
1:00pm〜7:00pm(最終日〜5:00pm)

■このたび、ギャラリー花影抄では、岐阜県の下呂で活動をしている木彫作家 野垣内秀也の作品展を開催させて頂く運びとなりました。彫号は「秀也」です。
 飛騨という昔からの根付の伝統の土地で、一位一刀彫を学び、根付制作にも取り組んできました。
 いたずらそうな「小鬼」の連作や、ゴリラなど、表情豊かな作品を手がけています。茶目っ気のあるキャラクターたちは、作家の心のうちを代弁しているかのようです。
 今回の展覧会では、写実的なもの・デザイン的なもの、両方があり、今後の作家が目指していこうとする方向が見えるような気がしています。飛騨の根付の伝統は、斬新なデザイン性と、克明な写実性の二面を併せ持ったものです。飛騨根付の伝統と現代を繋ぐ、そんな作家となっていってほしいと願っています。
 根付と木彫作品、十数点が並びます。何卒、宜しくお願い申し上げます。
 ※作家在廊日、5/2・3

●作家の言葉 野垣内秀也(Hideya NOGAITO)
 私は三重県に生まれ育ち、12年前に脱サラして飛騨高山で一位一刀彫を学びました。
 一位一刀彫は、根付師 松田亮長が一位材の木目の美しさを生かした彩色しない、鑿痕(のみあと)を鋭く残した彫り物として大成しました。亮長は一位材以外にも黄楊で彫った「籠の渡し」が有名です。根付から始まった一位一刀彫ですが、いつの頃からか置物になり根付の技術文化は途絶えました。
私がはじめて根付と出会ったのは、弟子2年目(平成10年)の頃、高山に印籠美術館(現在はありません)があり、そこで昔の印籠と根付を観て驚いたことを覚えています。「ちっちゃ!そしてなんて細かいところまで彫っているんだ・・・」というのが第一印象でした。また、富山佐藤美術館「根付彫刻江戸のしゃれ」にて、古根付と現代根付の展示があり、今も根付がつくられている事を知りました。
 それから月日が経ち、平成15年から根付をつくり始めました。
 今回の展示会にあたり、初めて取りくんだ題材が河童・鳳凰です。また霊獣や妖怪が好きなこともあり、今後もつくると思います。よく作品が作家に似ているといいますが、今回の案内状の写真に使われた作品には、自身の姿が表れたようにみえました。私はこんな顔?内面はかなりこんな感じです。タイトルは、「煩悩」です。
 今までいろんな良き出会いがありました。その出会いの中で花影抄・作家の皆様に御指導いただき、この展示会を催すにいたりました。感謝申し上げます。また、無理を言って置物の木彫刻を同時に展示します。
 この季節になると初志を思い出します。当初、がむしゃらに仕事をして、朝起きたら手が浮腫(むく)み握れなくなったことがありました。そのときから一周して、今は自分なりのライフスタイルで励みつつ頑張りどころの時期だと思い意気込んでいます。皆様よろしくお願い申し上げます。