正倉院宝物復元撥鏤展 村松親月

2013年10月8日(火)~14日(月)
会期中無休
13:00~19:00(最終日は18:00まで)
作家在廊日/8日(火)・12日(土)・14日(月)




鮮やかな赤い色が、印象的な「象牙製の撥鏤(ばちる)工芸品」は、
奈良国立博物館で毎年秋に開催される「正倉院展」でも花形の展示品となっています。
今回、展示をする村松親月は象牙彫刻師。
30年以上にわたり、奈良時代以降途絶えていた撥鏤技法の復元に取り組んできました。

「撥鏤」は象牙作品の染付と彫刻の技術であり、
中国の唐の時代に高水準に達したものの、その後世界中から姿を消し、
今日では日本の正倉院に現存するのみです。
今回の展示作品は、復元模造ではありますが、奈良時代当時の技法を極めて忠実に再現しており、
歴史的にも意義の高いものとなっています。

撥鏤の技法は、象牙を茜・藍の染料で染め、その後で様々な文様の彫刻し、部分的に点彩を施します。
染料に染まった象牙表面と白色のまま残った内部、筆による点彩の対比により図柄を生み出す手法です。
染料の浸透具合が重要で、浸透が浅すぎると彫りに立体感が生まれず、
逆に深すぎると白地が、きれいに出ません。
これらの点を十分に配慮した上で、村松親月が30年以上の試行錯誤の末に辿りついた集大成です。

今回の展示では、「復元された撥鏤撥、撥鏤尺」とその技法解説に加え、
原寸大で図柄を抜き出した撥鏤技法による帯留や根付といった工芸品も展示されます。
原寸の紋様で作ることで後世においても、
「正倉院の撥鏤の技法」がどのようなものなのか、伝わり残ることを願っての事です。

出品内容については、正倉院宝物の復元品「撥鏤撥」1点、「撥鏤尺」2点、「撥鏤碁石」数点。
上記の復元品と同じ技法・サイズで抜き出した図柄で制作した工芸品(帯留と根付)20数点、
以上が並びます。工芸品については、販売をいたします。