二十二名の現代作家による、もののけ根付展「勿怪の幸い」第二集「勿怪の幸い」

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店主挨拶

このたび、もののけ(妖怪)をテーマとした現代根付作品の展覧会を開催させていただく運びとなりました。

根付にはもともと縁起の良い題材が多く、お守りの役割や験担ぎの願いが込められてきました。
ところが一方ではまた、少し怖く、妖しい部分も、担ってきた側面もあります。
江戸時代に沸き起こった妖怪ブームの遺産を、現代の私たちは確かに享受していると言えるでしょう。
妖怪・江戸・根付は、妖しさ・懐かしさ・小さなサイズ感覚の可愛らしさ……この3つが合わさって何かの化学変化が起きる。
まさに「勿怪の幸い」なのではないかと思います。

今回の展示は、2018年に開催し、予想をはるかに越えて好評だったグループ展の第2弾です。
新たに、上海の現代根付チームから3名の選抜作家を迎えて展示します。彼らが作るのは、中国の妖怪たちです。
妖怪大戦争!というと大袈裟な煽り文句に過ぎますが、妖怪と根付を絡めて海を越えた交流があるのは刺激的なことと言えるでしょう。

夏の名残りの9月、ベテランから若手まで、また上海からのゲストも交えて、総勢22名の現代根付作家による、大妖怪フェス。
それぞれの作家が1〜2点、合計40点ほどが一堂に並びます。

このたびの感染症による社会状況の中での開催となりました。
社会的状況が、いまだ予断を許さぬことをふまえ、インターネット上での特設サイトでも公開いたしました。

実際に来場いただくお客様には、ご予約のお願いをすることになり、ご不便をおかけいたします。
ご理解をいただけますことを、作家ともども、お願い申し上げます。

息苦しい毎日が続いておりますが、不滅とも言える存在の妖怪たちから、エネルギーを吸収していただければ、一同、これにまさる喜びはありません。

Gallery花影抄 橋本 達士

作家代表挨拶 至水

2017年末、狛さんから「至水、俺と妖怪で勝負しろ」と仕掛けられたプロレスを切っ掛けに、花影抄所属作家数名による妖怪括りのグループ展の企画がたちあがり、妖怪括り故に物の怪的なるモノへの嗜好があるであろう作家がピックアップされて行きました。
ところが人数が増えに増え、数名どころか総勢15名に及ぶGallery史上最大の参加人数を叩き出す、第一回もののけ根付展「勿怪の幸い」の開催に至ります。
以後毎年9月、夏の終わりの花影抄フェス的位置付けのグループ展が開催される事となりますが、今年のもののけ根付展「勿怪の幸い 第二集」は22名の根付作家が参加するとか・・・熱いですね。

現代根付を俯瞰で見ると、可愛らしい、ほっこりとした、超写実、癒される、縁起の良い、そんな題材作風が主流であり、妖怪根付などと云うものは未だニッチな存在でしょう。
しかし、真珠庵の百鬼夜行絵巻から鳥山石燕、そして水木しげる御大のゲゲゲの鬼太郎によりキャラクター化され、広く薄く日本人の意識の奥に刷り込まれる事となった物の怪、妖怪達が、作家それぞれの解釈や見立てにより根付化される面白味は、妖怪愛溢れる根付ファンのみならずとも存分にお楽しみ頂ける筈。

狛さんの一言を切っ掛けに2018年に開催された妖怪グループ展が大好評、それが毎年の行事となり正に「勿怪の幸い」、との感想をお聞きしましたが、いやいやいや・・・至水的には必然なのです。

最期に、現代根付界のレジェンドである故中村雅俊先生が妖怪「びろーん」を根付化されておられるという事実、つまり古い妖怪画等ではなく、1972年に立風書房ジャガーバックスから刊行された佐藤有文著「いちばんくわしい日本妖怪図鑑」を手に取っていた(筈?)という事に胸躍らせつつ・・・
(?な方はびろーんの出自をググってみてね)
もののけ根付展「勿怪の幸い 第二集」開幕です。

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