Works作品紹介

古へのオマージュ

「根付」の最盛期は、やはり江戸後期にあると思います。根付が実用品としての力強さを持っていた時代です。
現代において、根付を制作する時に「根付のスタンダード」をどこに置いて考えるか?ということは、大事な点であろうと思います。
いわゆる「型破り」という言葉の「型」の部分です。美洲の場合は、江戸の古典根付が、そこに当たります。
今回、作家が「古へのオマージュ」と表現したこの連作は、美洲の考える「根付造形の型」の表明です。
(Gallery花影抄 橋本 達士)

画像をクリックすると、それぞれの紹介ページがご覧になれます。

現代の美洲

ここにあげる作品は、先に書いた「型破り」という言葉のとおり、「型」を作家自身の個性や考え方によって「破る」、もしくは破ろうとしている作品群です。
美洲は、若い時代に家業の職人として古典根付の模倣的な仕事を数多く手がけ、多くを学んだと言っており、そこから如何にして脱却して自己を実現するか?という問題に挑み続けてきたと考えられます。
作家が青春を過ごしてきた時代的な背景、新しさへの渇望も、そこには感じられると思います。
美洲の世代の作家によって始められた「現代根付」という表現ですが、その「現代根付」とは何か?という問いかけに、美洲は五十年以上向き合ってきました。模索は今なお続いています。
(Gallery花影抄 橋本 達士)

古へのオマージュと現代と

美洲の制作活動を側で見ていると、古典根付への眼差しと自己表現の模索の間を寄せては返す波のように揺れ続けていることが感じられます。その仕事は、「温故知新」(前に学んだことや昔の事柄をもう一度調べたり考えたりして、新たな道理や知識を見い出し自分のものとすること。古いものをたずね求めて新しい事柄を知る。三省堂 新明解四字熟語辞典)という在り方そのものであり、若い根付彫刻を志す者への道筋ともなるものでしょう。
(Gallery花影抄 橋本 達士)

ページのトップへ戻る