連作・道甫的解釈浦島太郎Series of Works"Interpretation by Douho: Japanese Folktale Urashima Tarō"

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  • 浦島太郎の役の人/道甫

    浦島太郎の役の人

    うらしまたろうのやくのひと

    大きさ:8.1 × 2.3 × 1.9 cm

    素材:鹿角

    制作年:令和3(2021)年

  • 蛸神様を模した像/道甫

    蛸神様を模した像

    たこがみさまをもしたぞう

    大きさ:6.1 × 2.8 × 2.2 cm

    素材:鹿角

    象嵌:貝

    制作年:令和3(2021)年

  • いあ! いあ! はすたあ!/道甫

    いあ! いあ! はすたあ!

     

    大きさ:6.1 × 4.1 × 1.7 cm

    素材:鹿角

    制作年:令和3(2021)年

  • 亀っぽいと思わしきもの/道甫

    亀っぽいと思わしきもの

    かめっぽいとおもわしきもの

    大きさ:4.9 × 3.5 × 2.1 cm

    素材:鹿角

    象嵌:黒檀

    制作年:令和3(2021)年

  • 見てしまったか!/道甫

    見てしまったか!

    みてしまったか!

    大きさ:4.6 × 3.5 × 2.1 cm

    素材:鹿角

    象嵌:黒檀

    制作年:令和3(2021)年

  • 本当に食べてしまったのか?/道甫

    本当に食べてしまったのか?

    ほんとうにたべてしまったのか?

    大きさ:4.8 × 4.6 × 2.5 cm

    素材:鹿角

    象嵌:黒檀

    制作年:令和3(2021)年

  • 乙姫はハイドラの夢を見る/道甫

    乙姫はハイドラの夢を見る

    おとひめははいどらのゆめをみる

    大きさ:6.8 × 4.1 × 2.9 cm

    素材:鹿角

    制作年:令和3(2021)年

  • 巡回中/道甫

    巡回中

    じゅんかいちゅう

    大きさ:11.0 × 2.1 × 2.1 cm

    素材:鹿角

    象嵌:貝、黒檀

    制作年:令和3(2021)年

  • 結びついてしまったか!/道甫

    結びついてしまったか!

    むすびついてしまったか!

    大きさ:5.9 × 3.9 × 3.9 cm

    素材:鹿角

    象嵌:黒檀

    制作年:令和3(2021)年

  • ダゴンとハイドラ/道甫

    ダゴンとハイドラ

     

    大きさ:9.3 × 4.0 × 3.0 cm

    素材:鹿角

    象嵌:貝

    制作年:令和3(2021)年

連作「道甫的解釈 浦島太郎」について

今回の展示の構成は、ご依頼主から「ひとつの物語で括られた作品群」を制作してほしいという意思を受けて考えられました。その連作のテーマ「物語」の題材に道甫が選んだのは「浦島太郎」。

この連作に、作家自身も自らに課題を設けて取り組みました。道甫の制作歴の中で長く大きなウェイトをしめているのは、やはりクトゥルフ神話(アメリカで20世紀に怪奇小説として創作された架空の神話体系)です。彼はこの数年、そのクトゥルフ神話を借り物ではない自分の作品表現とするにはどうすれば良いか?と自問していました。今回、あらためてその問題に向き合うことになりました。連作のコンセプトを考える中で、クトゥルフ神話は海のイメージのものが多いということから、日本の昔話・浦島太郎を持ってきて繋ぐことにしました。そうして生まれたのが「道甫的解釈 浦島太郎」の連作です。

この、「自身の物語とするために別の物語を引用してきて接続するという行為」は、作家の同世代(ひと括りにするのは乱暴ですが)の特徴、「コピー&ペースト的な感覚文化」が良く表れているように思います。そして、元々のクトゥルフ神話体系の本質が、複雑な事情が重なった結果であるとはいえ、多くの表現者に世界観が共有され広がっていく、二次創作的な性質を持たされたものであることも興味深いものです。

物語の表現ということでは、本来の根付が持っていた物語の表現方法は、根付と緒締と印籠などの3つと着物の柄を繋いで物語るものだったはずです。しかし、現代では根付単体が複雑な伝達の役割を課せられることが多くなりました。今回の展示は、10点あまりの根付彫刻によって、ひとつの物語が浮かび上がるというもので現代根付ならではの試みです。順番に作品を手に取ると、絵巻物を開いて読み解き進めていくような不思議な充実感があります。脇役があり主役がいる、序があり展開しクライマックスの場面がある、そういう全体の流れを含めた表現は、根付の展示としては珍しい(過去にも例はありますが)試みと言えるでしょう。

この連作の物語の筋立てについては、作家からは曖昧な提示をされているだけで、確固とした状態では表わされていません。ご覧になる方々の自由な想像によって、この珍妙な怪奇絵物語を読み解いていただければ作家共々幸いに存じます。

Gallery花影抄 橋本達士


作家の言葉 道甫

私はクトゥルフが好きです。魅力は色々あります。
沢山の作家たちがシェアワールド形態の小説として世界観を作り、得体も知れない何かを想像し続けできたもの。
そうして出来た世界観を自分のワールドにフィルターとして被せ継ぎ足し、
弾かれることなく想像を膨らませることが、惹かれてしまう理由の一つであります。

物語性とは別に自分に課した課題は、出来るだけ多く種類の根付の形態、型、雰囲気を制作することでした。
例えば形彫、饅頭根付、二面性、古典的を見せる物…etc。方向性が違う型によって作る形の設計が変わります。
そういうものも発表したいと思い制作しました。

作品のコンセプトというものは、常に異なるモノが多層的に重なって構成されているものです。
言語化できるモノもあれば、できないモノ、しにくいモノもあります。
そういうモノも、個々の作品を通して感じてもらえると幸いです。