Kudan (Kudan the Prophecy Beast)

題名
大きさ
2.6 × 1.6 × 1.5 cm
素材
蝦夷鹿角 象嵌:黒水牛角
価格
販売済
制作年
令和2(2020)年
管理番号
ssi20062401
作品解説
「緊急事態宣言が解除され、ステイホームに暇を持て余し溜まりに溜まったうっぷんを晴らすべく御近所ゴシップで盛り上がるマダムたちが集う甘味処は申の刻、今日の話題は何やら怪しげで……
昨年の大晦日、良質な黒毛和種の繁殖農家として知られる田上氏(仮名)が飼育する牝牛「福余花」号が前触れも無く産気付き、人面牛体の赤子を産んだのだと。
その赤子は見開いた眼で田上氏(仮名)を見つめ「年明けに世界規模の疫病が流行る」と、産声ならぬ予言を発したという。
田上氏(仮名)は尋常ならざる事象に恐怖するも、異形の赤子とて「福余花」号の産んだ仔、強い和牛愛故に自らの手で殺めることもできず、その夜のうちに古い山寺の門前に捨て置き逃げ帰ったらしい。
それってコロナのことじゃない?当たってる!と騒めき立つマダムたちの二つ後ろのボックス席でひとりタピる法衣の爺が何やら腑に落ちた顔で「ほぉ」と声を漏らした。
タピオカミルクティー×1 ¥550 の会計を済ませ、寺への帰り道立ち寄ったドラッグストアのベビー用品コーナーを物色しつつ、元旦に門前で抱き上げた赤子の法名を今更やっと思い立った。
予言獣「件」は出生後予言を残し数日で息絶えるとか、果たしてどれだけ生きるかわからぬ命なれど、どの道苦行は避けられぬ生涯となるだろう、ならば自ら苦を断つ強き心を得られる様に……
「苦断」と名付けられた異形の赤子は三日に一度何かしらの予言をしつつ生後半年が過ぎていた、今日から離乳食を始めたが、住職が悩みに悩んで選んだベビーフードを事も無げにほおばる強い子だ。」(至水)

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