カタクラケンタ個展
よすがの分水嶺

2023年9月2日[土]〜10日[日] ※4日[月]休廊
13:00〜19:00(最終日は18:00まで)

作家の在廊日、9/2・3・7・8・9・10 を予定しております。
SNSなどでもお知らせしていきます。




【作家の言葉】 

今回の個展では炎や水のように「目には見えるが定型を持たない現象や反応を造形する」という課題から端を発した。

ファンタジーな創作物において元素や現象の造形・描画表現はもはや必須で身近なものだが、その原点は神話や伝承、宗教美術から着想を得たとされており(:不動明王立像の迦楼羅炎など)、こと現代日本では漫画・アニメの中の演出効果として目にする機会も多い。

おそらくその目的は現代創作でも原始宗教でも一貫しており、簡単に言えば「超自然的な人ならざるもの、人よりも強大な存在の想像」である。

我々が生きる現代においては獲得した知識や理性によってそういった表現が空想上の夢物語であると認識出来る。が、まだ多くの自然現象を科学で説明できなかった古の時代では、人々は水害や天災などの現象に対し神や妖怪といった人ならざるものと結びつけ、その理不尽な現実の事象を空想や信仰と混ぜ合わせることでやり過ごしていたのではないだろうか。

今回の個展で発表する根付作品では、元素を基にした造形から着想を得て、神話・妖怪など畏怖や信仰の対象となるモチーフを選択した。これらの作品が所有という行為を通して所有者の精神の支えとなることに期待する。
立体作品では単純で抽象的な造形物+炎や水から着想を得た造形を組み合わせることで、「祀られている」と認識出来る造形は可能なのかを考察している。

これらの作品群を通して、物体である作品が精神の拠り所(よすが)となりうる分かれ目を探るという意味を込め、タイトルを「よすがの分水嶺」とした。

つまるところ私は無宗教でありながら、理性を超えて「信仰する」という精神状態に救いを求めているのだろう。

最後にドイツの言語学者ヴィルヘルム・フォン・フンボルトの言葉を借りて締めとする。

幸せな人はいい気にならないために、幸せでない人は支えとして、不幸な人は屈しないために、それぞれ信仰を必要とする。(「断片」より抜粋)

カタクラケンタ


【ギャラリーより】

カタクラケンタは、「非実用的なアート」としてのジュエリー作品や、造形的な作品(終末を想起させる花や植物的な形状のオブジェなど)を制作発表してきた後、現代根付を制作するようになった作家です。

本個展「よすがの分水嶺」では、目に見えるが定型を持たない現象の造形をテーマとして選びました。

最近のファンタジーの創作では(ディズニーの新作映画を例にあげるまでもなく)元素や現象の表現が重要で、その源は神話や宗教美術にあります。国や人種を超えて表現されてきた題材ではないでしょうか。
今回の展示では、神話や妖怪などを元素の造形から逆算し、信仰の対象とされる形を探ります。抽象的な形、炎・水のイメージを使うことで、まるで神聖なものを祀っているかのような雰囲気を醸し出そうとする試みです。
作者は無宗教でありながら、「信仰の精神状態に救いを求めている」と言っており、持ち主が身につけることができる造形物としての作品に込められる意味や意義について、可能性について、制作・展示期間を通して考えます。

とどのつまり生み出された作品は、今の日本社会で生きる同志への応援のようなものであるかもしれません。自らの手による作品が誰かの心の支えになることを切に願って制作された根付彫刻とオブジェ作品、資料として制作のためのドローイングも展示します。


【ご来廊に関してのご注意点、お願い】

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花影抄/根津の根付屋
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