齋藤美洲 根付彫刻新作展
初霜や 八十路根付の 一里塚

2023年11月14日[火]〜19日[日] ※会期中無休
13:00〜19:00(最終日は18:00まで)


作家在廊予定日:会期中は毎日在廊を予定しておりますが、変更の可能性もございます。



【作家の言葉】

本年も個展を開催できたことに、作家としての意欲と活力が与えられていると、天運と花影抄の皆様に感謝いたしております。

昨秋以降は、前回の個展の題名のとおり「シンプルへの序章」を命題として、発想・造形・バランスは老いることなく発揮できる私の能力と自負しながら、創作を楽しむ日々でした。

ところが4月、私は八十路を歩むと実感したとき、やっておくべきことに気づきました。
工房で、以前に仕上げ彫り近くまで工程を進めてあった作品を、より納得したものにするべく温存してあるままだったことに気づいたのです。今、これらを仕上げなければ、未完で終わってしまうと考え、遂行していた「シンプルへの序章」以前の感情に立ち返り、その数点の根付を完成させました。

 この作業は、八十路の私に素晴らしい贈り物を与えてくれました。
 プロの根付師となって、62年間の、そのときどきの情景と感情がパノラマの如く去来し、苦節も好事も笑みをもって楽しむ時間を得ました。「根付彫刻は我が人生」と。

 そのような心境の中、シンプルとはフラットな表現ばかりではないと教えられました。柔らかさを強調するには毛彫もそのひとつ等々。

 革新的な根付とは、古典の否定ではなく、そのエッセンスの畏敬あってこそ創られるとの思いで「シンプルへの序章」に向かい、今日も工房に座しております。

 御来場された方々の率直な御批評(批判、酷評も)を得たく、それが私の踏ん張り台となります。

 令和五年 霜月 齋藤美洲


【ギャラリーより】

流動と抽象、美洲根付の二つの表現から、凝縮した10点を発表します。

八十歳を過ぎてなお現役で新作の展示発表を続けていく美洲。作家として一里塚を刻んでいく道先を思います。

今回の展覧会のサブタイトルは短歌のような言葉です。冬になると美洲さんが早朝の未だ誰も踏んでいない霜を踏んで散歩する楽しさを話してくださるのですが、まさに根付師としても未踏の道を歩いていく姿勢と重なりました。

本展は、数十年前に粗彫りされて置かれていたような作品の仕上げをしたもの、今年新しくゼロから制作したもの、そして実験的に教え子の一人でもある中梶真武さんとの共同作業で制作したブロンズ鋳造の複製根付など、3つの展開での作品発表となります。
そして展示搬入を前に美洲さんから、今回の個展の後、今までの根付彫刻の表現から離れつつ、昨年から向き合っている「シンプルな根付造形美」への探求、今の自身の中にある創造の可能性をさらに深めていく予定とのお話しがありました。現役にこだわり、今日も創造力のベストを尽くす!という姿勢の確認でした。
これからの創作活動にも、ぜひ、ご注目いただけましたら幸いに存じます。
作家ともども、何とぞよろしくお願い申し上げます。

(花影抄/根津の根付屋 橋本達士)


【ご来廊に関してのご注意点、お願い】

御予約なしで来場いただけます。

ギャラリースペースおよび店内は、換気扇を使用し、窓を開け、
サーキュレーターを各所に配置し換気に気を付けております。
入店時の手指の消毒、マスク着用はこれまで通り、ご協力をお願いいたします。
少しでも体調に不安のある方は、ご来店をご遠慮くださいませ
(小さなものであっても咳の症状がある、微熱がある、頭痛がある等、
普段と体調の差異を感じられる場合)。
皆様のご協力を賜りますようお願い申し上げます。

ご質問等ございましたらお問い合わせください。

花影抄/根津の根付屋
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