永島信也 ー変温動物ー

2010.7/24(土)〜8/1(日)/29(木)休
13:00~19:00/最終日~18:00
※初日15:00より、作家による作品解説があります。


■永島信也による木彫・根付作品を紹介する展示会。

永島は、小さな彫刻作品のサイズにこだわって制作している。そのスケール感・好みの大きさは、身体感覚的なものであるようだ、聞けば子どもの頃に、釣りのルアーを作ってみたことから始まっているという。大学で彫刻科に進んで、大きな作品も手がけたが、やはりしっくりとくるのは、小さなサイズの彫刻だったそうだ。制作における『自分探し』の中で「根付彫刻」という日本の伝統的な美術工芸に出会う。
今、永島が手探りしているのは、「根付的サイズの自分の表現」であり、また奥深い歴史が積み上げられた「根付」という伝統的な工芸であり、そしてその「境界線上にある何か」である。

今回の展覧会は、あえて根付作品に入れている銘の「閑溟」ではなく、本名の永島信也で作品を発表する。出品作の中には、根付としての機能を満たした「根付」もあり、また小さなサイズのオブジェもある。出品数は、十数点。この春、美術大学を卒業したばかりの若手の試行錯誤。是非、御覧下さい。
(Gallery花影抄・橋本)


■作家の言葉 永島信也

私の中で、人間の女性というモチーフに相対して、動物の、特に魚類・両生類・爬虫類といった変温動物には男性的なイメージを持っています。
これは私の「他の存在に対しての憧れ」によるところが大きいのです。
自分にない美しさを持つ女性に対しての憧れ、自分にないかっこよさを持つ変温動物に対しての憧れ。
自分にないものを持つ存在に対しての憧れ、突き詰めればその存在への変身願望が自分の作品制作の根底にあるのです。

そして、人間の女性にはどこか変温動物的な魅力も隠れているように思えます。
爬虫類的ななまめかしさ、両生類的なかわいらしさ、魚類的なしなやかさ。
逆に動物からも人間的な表情を感じることができ、そういったことを踏まえ、
今回は変温動物という共通のテーマでいろいろな女性像、動物像を制作しました。

そんな私自身の偏った内面に迫る内容ですが、
とどのつまりは、「何がかわいいか」「何がかっこいいか」「何が美しいか」ということを単純に、純粋に突き詰めようとする行為の現在位置なのであります。
そんな私の「憧れ」を楽しんでいただければ光栄です。


■略歴・作家紹介

永島信也 Shinya Nagashima/閑溟 KANMEI

1986年 島根県出身
現在、千葉県在住。

2006 年3月 松江工業高等専門学校卒業
2010年4月 京都造形芸術大学卒業

□中学生の頃、バスフィッシングのルアーを作ったのがきっかけで、とにかく小さいものを作る事を子供の頃から好み、手のひらサイズにこだわって制作をしている。現在も、小さなサイズの木彫作品・根付彫刻を作る。
「永島信也」と「閑溟」の2つの銘で作品を制作する。「閑溟」では、工芸的な現代根付を主として制作し、「永島信也」では作家として、自分の表現の形を探していきたいと考えている。

□個展 「ボン・ヴォヤージュ」 (ギャラリーはねうさぎ/京都)

□グループ展
2007 年 『甑島で、つくる。 KOSHIKI ART EXHIBITION 2007』 (甑島/鹿児島)
    「分岐展」 (ギャラリーbe京都/京都)
2008年「U.S.E」 (ギャラリーマロニエ/京都)
2009年「SPACE」 (ギャラリーマロニエ/京都)
   「木彫展」 (idギャラリー/京都)

□雑誌「アートコレクター」no,18・no,21 掲載