泉水 陶根付展「大地のうた」

2010.9/18(土)~26(日)/ 21(火)休
13:00〜19:00/最終日〜18:00


■小さく可愛らしいものに愛着を感じ、陶根付に挑戦して5年目、泉水の陶根付の展覧会です。

陶器の根付は江戸時代にも制作されていましたが、現在ではほどんど手がける作家はおらず、実用を兼ねた陶根付という厳しい条件を感じながら、ひとつひとつ手で創りだしていく泉水の挑戦は続いています。

旅をしながら大地や動物達から受けたメッセージ。
今回の作品はどこからか聞こえてくる、そんな大地のうたをテーマに、擬人化した光や風という自然の化身と動物達を中心に十数点の陶根付の作品を展示します。
大地で力強く生きている動物達、そしてそんな動物達を見守り声を聞いている光や風。    
決して楽しいだけではない厳しさも感じながら作られた作品は、小さいながらもそこに   
たくさんの物語がつまっています。

泉水の手から生まれる生き生きとした表情の陶根付をぜひご高覧ください。

担当:木塚




■作家の言葉 泉水 Izumi

7月に急逝された増井光子先生のインタビューを何かで目にした事がありました。
「・・・地球は人間だけのものではない、身近な小さな生き物の命を大切にすることが地球を大切にする事に繋がって行く・・・」こういった事を漠然と考えている人は私を含め少なからず居るのですが、先生のように経験と知識から発言力のある方がこのような事を語ることの意味や、影響力を思うと本当に惜しい方を亡くしてしまった、と思うのです。

先生に野生動物の作品のご注文を頂くと沢山の資料と助言を頂戴します。先生の指定された動物のピンポイント的な「種」を良く観察、考察する時、自然との付き合い方、動物との向き合い方、人が人の快適さを追求するあまりに壊して来た様々について考えざるを得ませんでした。

先日北海道を旅行し、知床まで足をのばしました。道中野生動物に接する機会も少なくなく、動物好きの私としてはウキウキだったのですが、ある山道で先行車が止まったので我々も停車してみると道の真ん中に一匹のキタキツネがもはや逃げることもせず、せつない目でこちらを見つめていました。明らかに人慣れしており、食べ物を与えられるのを待っているのでした。知床は冬季には封鎖されます。自分で獲物を取れなければ冬は越せません。今の季節だって、車道でウロウロしていれば事故に遭うかも知れない・・・「かわいい」だけでは済まされない現実がありました。

人間が出来る事としなくてはならない事、或いはしてはならない事。
増井先生の言う「命を大切にする」とは本当はどの様な事か。
もっともっと考えなければならないのだと思います。

今回の展覧会「大地のうた」は、そういった所からの発想です。
壮大なテーマながら、まだまだ解釈も甘く、未熟な作品だとは思います。
ただ、増井先生の大切な思いを今の自分なりに受け継ぎ、それを作品に込める事が出来れば。との思いです。