守亜 作品展「私的熱帯世界」

2010.10/16(土)~24(日)/ 21(木)休
13:00~19:00/最終日~18:00


■守亜は、主に水棲生物や爬虫類(時々、猿などもあります)などを題材に、樹脂による立体作品を制作している。
「生物」に強く惹かれ続けている作家が、どのように対象を表現し、また同時に自分自身を表現していくのか。模索の中で「根付」という特殊な造形に触れたことが、自分のスタイルを探す中で貴重な引き出しのひとつとなり、また一方で、上野動物園内の建物の壁面を飾る「パンサーカメレオン」などのリアルな作品を手がけたことも大事な経験のひとつであることは間違いない。デフォルメとリアル、自分の表現と生物そのものの形・存在、それらの間で揺れ動いている彼の作品群は、活き活きとしている。そして、さらに言えば、揺れ動きながら進んでいく作家の活動そのものが、とても活き活きとして魅力的に感じられるのだ。
6回目となる今回の個展で、どのような作品群が発表されるのか、是非、ご高覧下さい。
何卒、宜しくお願い申し上げます。

担当:橋本


■作家の言葉 守亜 MORIA

生き物を自分のイメージの中で自由に膨らませて、記号としての動物や自然を表現する時、例えば平和や静的なイメージの象徴として亀を表現する時、多くの場合それはいわゆる亀であってどんな種類の亀であるかは重要ではなく、表現したいイメージの具体的な体現であればよい。

逆に生き物をリアルに表現する時、これも例えば亀の場合であれば、それがどんな種類の亀であるかはもちろんどんな所に棲んでいて、どんな行動をするのか、またはどんな骨格なのかなど、モチーフとなる亀について多くのことを知ることが重要になってくるように思う。

どちらもそれぞれの目的や立場において、生き物や自然というモチーフをそれぞれのやり方で表現している。

そして僕はというと、そのどちらかでは駄目で、リアルに作るだけでは何か物足りないし、表現したい生き物はただの亀でも、ただの蛙でもいけない。僕の中にはセマルハコガメやアズマヒキガエルがいて、しかしそいつ等はこの世界のリアルとは違う、僕のイメージの中のセマルハコガメとアズマヒキガエルだ。

単純な話、ただの欲張りなのかもしれないのだけど、そんな欲張りな、リアルとシンボルの間にある“熱帯世界”を表現したいと思っている。