2012.5.19日（土）～27（日）休/24（木）

■作家の言葉　森栄二

これらは僕の心の庭に現れ、かたどられた物たちです。
その庭は誰でもそうあるように、僕が小さな頃から密かに作られ始め
徐々に存在を大きくしていきました。

庭の入口はほんの時々静かに開いて微かな風を僕に吹き掛けるだけで、
その存在を知ることなく過ごしてきたのです。

しかし、今、その戸口に立っています。

温度や湿度、ぼんやりとした光や影を感じます。
とても静かな物音も聞こえてきます。

実際に住んでいる家の庭は心の庭ととても深く結び付いていて、
この庭も民家に隣接することなく森にかこまれ外界から隔てられた窪地です。

今回作ったものの殆どがそのなかで見つけだしたものです。
心の庭を構成している物たちはそのように現実の世界から移行してくるもの、
これまでの記憶の残像、植物であれ人であれ、またそれ以外の動物や無機物で
あるにしろ、全て僕自身のかけらであることはまず間違いなのです。


■この度、木彫作家の森栄二さんを迎え森栄二展を開催いたします。

森栄二さんは、神奈川県葉山にアトリエを構え制作活動をしています。
お天気の良い時はアトリエの庭に出て制作をされているそうです。

そんな制作風景をひとことで切り取ったものが今回の展覧会名の
「遠くで 飛行機の 音 がする」になっています。

今、森さんのはやりはそんな庭の植物を彫り出す事。
ひとつひとつの作品にとりまく空気も大切にしたいという森さんの展示が
楽しみです。ぜひ、ギャラリーまで足をお運びいただきゆっくりと作品を
眺めていただきたいと思っております。

担当：木塚