森 栄二展「曇り空」

2015/1/24(土)〜2/1(日)
1月29日(木)休廊




葉山の山の麓にあるアトリエでの静かな「制作と生活」が、そのまま作品の空気感となって結晶している。
題材は、子どものほか、植物(未熟なものや朽ちかけたもの)や壊れた無機物など、不完全な存在であるもの、片隅にあるようなものだ。
それらは、ささやかな揺らぎのようなものを内包しているように感じられる。
特に子どもをテーマにした作品には、作家のナイーヴな内面が投影されており、子供の姿を描き彫刻することで「子ども」そのものではなく自分自身を模索し表現している。
森の作品に触れることで、「忘れてしまいそうな大事な何かを思い出さなくては」という気持ちが湧き上がってくる。

本展では、昨年のアートフェアULTRAにて発表した人物立体作品を中心に展示構成する。
もともと木彫を制作の中心においてきた森だが、ライブ感のあるドローイングの名手でもある。
素早く瞬間で描くドローイングと長い時間をかけて制作する木彫の間に表現したい物事のジレンマが長らくあったように思う。
昨年から取り組み始めた粘土による塑像を型取りした人物に彩色を施す作品には、その双方を繋ぐ魅力があらわれていると感じられる。
(Gallery花影抄/橋本達士)



作家略歴

1967年 神奈川県小田原出身
1992年 多摩美術大学グラフィックデザイン専攻卒業
1995年 東京藝術大学大学院保存修復技術彫刻専攻修了

□ 展覧会
1997年 タケダエキジビットハウス(鎌倉)
1998年 ギャラリー山口(東京・京橋)
2004年 茅ヶ崎市立美術館プティ・サロン(茅ヶ崎)
2006年 柴田悦子画廊(東京/銀座)
2009年 lOWER AKIHABARA(東京/東神田)
2012年 森栄二展「遠くで飛行機の音がする」Gallery花影抄(東京/根津)
2014年 森栄二展「私の庭」Gallery花影抄(東京/根津)

□アートフェア
アートフェアULTRA2014(木塚多賀子ブース)