かわさきみなみ展「今日のいろいろ」

2015/11/14(土)~22(日)
※19日(木)休廊
13:00〜19:00(最終日は18:00迄)




2012年に女子美術大学を卒業してから毎年個展を精力的に開催してきたかわさきみなみですが、今年は 日本橋のコレド室町3にある千葉銀行のメセナ活動の一環である、ちばぎんひまわりギャラリーでの個展や夏には北アルプス展望美術館での展示参加など、大きな場所の展示でも、活動の場を広げてきました。今回の個展では一転、小さい作品を中心に新作を発表します。

立体作品に加え、昨年から50号以上の大きなサイズで精力的に挑戦してきた「羊毛絵画」も展示しますが、今回の個展では、10号以下の比較的小さい作品で展開します。

羊毛の素材感を生かし、水彩画を描くように作り上げる羊毛絵画もまた、かわさきの羊毛作品の可能性を広げています。

当初、「白い犬」を精力的に制作してきたかわさきですが、近年は色彩の効果を用いて「心の移ろい」を作品に込めるようになってきました。作家活動を模索し始めた頃の「絡まった姿の犬」、その後「心の奥底を覗いたような黒い犬」があらわれ、今年は生きるエネルギーを可視化したような、明るく輝くような色彩が犬達の身体に溶け込み始めました。自身の心の内を探りながら制作する作品は、見た瞬間に可愛らしさを感じる反面、長く見つめた時に感じる違和感もあります。生々しく、どこか不安げで不穏な要素も含みつつ、同時に「子犬」の持つ生命力に満ちたたくましさも感じられます。

身近な動物である犬に深い愛情を注ぐ作家であればこそ、表現できる魅力的な「犬の作品世界」ではありますが、そこに現れてきたのは、犬というモチーフを越えた、普遍的な「生きる者」としての在り様なのです。かわさきは、大好きな犬を探求し続ける中で、いつの間にか「生きる」という普遍的なテーマに向き合い始めているのかもしれません。


作品をぜひ会期中に根津まで足をお運び頂きご覧下されば幸いです。
展示期間中、作家は毎日在廊しております。

(Gallery花影抄/木塚多賀子)