道甫展〜魔道具としての根付彫刻~

2015/5/16(土)~24(日)
5/21(木)休廊
13:00〜19:00(最終日18:00)




●このたび、新人の根付作家・道甫(DOUHO)の初個展を開催させて頂く運びとなりました。
大阪芸術大学で「現代根付」についての知識を得て、魅了され作家を目指してきました。
2013年より制作活動をしてきましたが、個展形式での作品発表は、今回が初めてとなります。

「魔道具としての根付彫刻」という不穏な響きの展覧会タイトルが掲げられていますが、
彼にとって「根付もしくは根付師」は、超常的な力を持つ憧れの存在のようです。
古い根付の題材の中には、可愛らしい愛らしいものばかりではなく、一般的な視点からすると、怖いもの・不気味なもの・気持ちの悪いように感じられるものまでが、幅広く存在し残っています。
たとえば、石見地方に伝わる根付を例にあげると、蜘蛛や百足なども好んで作られていたわけですが、そのモチーフには何らかの願いや想いの「力」が込められていたと思います。それらは一筋縄ではいかない魅力を放っていて、現代の根付コレクターも(おそらく遠い昔の所有者たちも)魅了し続けているのです。
道甫も、同じような世界観を持ち、根付が持つ蠱惑的で強い力を自らのものとするべく、あるいはエネルギーを作品に込めるべく、日々努力をしています。古くからある根付や美術の様式、民族の風習・文化なども吸収し、自分の中で翻訳しなおしたものを作り出していきたいという姿勢が感じられます。(作家は、根付が様々な要素「美の法則や歴史や文化・風習、宗教的なもの」までを内包しているジャンルだと考えており、そこに最大の魅力を感じているようです。)

作家はデビューした時にブログでの挨拶で、以下のように書いています。

「大阪芸術大学で、金属工芸を学んでいました。
大学在籍時に高円宮妃殿下の根付についての講演会と、ニコニコ動画での永島さんの動画を見て、
花影抄のホームページにたどり着き、根付を意識しました。
実際に制作してみると、金属ではない素材の魅力に惹かれ、のめり込んでいきました。
Twitterで「俺根付作ってるんじゃー」みたいなことを書き込んでいたら、実際に見せることになり、今に至る感じです。
根付には知られざるルールが沢山あります。
例えば、色使い、大きさ、モチーフ、暗喩などなど。そのルールは当時の価値観、風土感から生み出されたものです。
昔のルールを知り、尚且つ現代の風土感が生み出す根付の造形やモチーフ、ルールを探ることが現代の根付師が目指すものと考えています。」

また一人新しい世代の根付作家の誕生と成長を見守り、応援していただければ幸いに存じます。
何卒宜しくお願い申し上げます。

Gallery花影抄/根津の根付屋/橋本達士


●作家の言葉 道甫(DOUHO)

拝啓 陽春の候、暖かくなり活動しやすい気分でいる所、
展覧会に向けての挨拶の為、筆を執った次第で御座います。

5月に初個展を開催させて頂く運びとなりました。

現代では、根付を作る側も使う側も十人十色の考えを持っていると思われます。
私は根付が魔術道具としての側面を持っていると考えています。
根付は用の美や造詣美、装飾物、呪術的お守り、序列・職能・所属などを区別する力、etc. のような様々な視点が混ざり合って構成されています。
そのような視点の一つ一つの力の作用は、今日の科学信仰と違うベクトルの力であり、精神を動かす方法であります。
それを私は「魔術」と思っています。
そのような視線をもって、私は私が考える「魔術道具としての根付」を制作していこうと思います。

5月16日より24日まで、Gallery花影抄で展示し、
私も在廊しておりますので、是非お立ち寄りいただければ幸いです。

道甫