森 栄二展
「小さく息をする」
2016/5/7(土)~15(日)
※9日(月)休廊
13:00〜19:00(最終日は18:00迄)
■作家の言葉
「花と花火」
小さく息をする
花柄の服 花火の煙
額に張り付く長い髪
水に濡れた黒い道路に
炎で文字を焼き付ける
曲がりくねった白い文字
少し曇った明るい夕方の
かすみはじめた空気の中で
煙が顔をかくして滲ませる
そういう美しい思い出
森栄二
■展覧会によせて Gallery花影抄/橋本達士
森栄二は、「子供」を大事なモチーフとして選び制作を続けている。
「子供を題材にした作品」と聞くと、「かわいらしい子供の絵」というようなものを想像してしまうかもしれないが、
森の作る(あるいは描く)それは、いわゆる前述のような可愛らしさはなく、
思索の底に沈み静かに佇んでいるようなイメージがある。
微かで小さく、しかし、しっかりと頑なな意思が宿っている。
子供が好きなのではなく、子供のまわりにある空気や空間を掴み取りたいと言い、
また創りだす子供たちに自分の幼い頃の姿を映し出しているとも言う。
どこか寂しそうで、大人びている像を眺めていると、現代社会を生きる私達の存在について考えてしまう。
特に今回のテーマ「小さく息をする」という言葉と展示会場の空気からは、
孤独や危うさを纏いつつ、またそうであるからこそ温かさを求める現代人の姿を感じとることができる。