至水・道甫 根付彫刻2人展

FREESTYLE NETSUKE DUNGEON

2017年11月18日(土)〜26日(日)
※20日(月)休廊
13:00~19:00(最終日〜18:00)



人外なる異形の者を根付として具現化し続ける至水と、 クトゥルフ神話などを題材に魔道具としての根付を制作する道甫の2人展。 超個性派の2人の作家が今回キーワードに掲げたのは、「ロールプレイングゲーム」。 至水と道甫が自由に彫り出す全ての作品が、「ネツケ ダンジョン」即ち「根付の迷宮」で冒険者を待ち受けます。 根付の冒険者達よ!至水&道甫とパーティを組み根付の迷宮をロールプレイしてみませんか?


は、1970年生まれ、北海函館在住の根付作家。
元来、模型や造形が好きで歯科技工士の職を経て、現代根付作家となりました。
根付の世界の外側(模型文化やサブカルチャーも領域)から「根付は面白い、そして現代根付とはなんだろう」という姿勢で制作活動に向かっています。


は、1988年生まれ、大阪芸術大学の授業で「根付」について学び、根付作家となりました。
大学の授業で根付についての勉強をして、地の利から京都の清宗根付館にも通い、
「根付とはこういうもの、良い根付とは」という学びを経た上で、制作活動に向かっています。


この対照的な経験を経て根付作家として活動している二人が、同じテーマを設けて制作するという。果たして並んだ二人の作品から何か見えてくるのか、現代根付を考える上でも楽しみに展覧会となっていると思います。

(Gallery花影抄/橋本)

【作家の言葉】至水


Galleryより二人展のお話を頂いたのはもう1年も前だっただろうか。

折角の展覧会イベントなので何かテーマがあると良いよねと、Gallery経由で道補さんとスカイプミーティングをさせて頂き、5分くらいでサクッと決まったのが「RPG」というキーワード。

そこから「根付の迷宮をサヴァイヴする二人の根付作家の冒険憚」へとイメージは膨らみ、今回の二人展は「Freestyle Netsuke Dungeon」として胎動を始めました。

実はこの「RPG」というキーワード、何を彫ろうがテーマに沿った解釈が出来るというマジックワードなのですね。

例えば、写実的な栗の根付を彫れば「アイテム:食料:マロン」とRPG変換出来、道甫さんの十八番蝦蟇の根付であれば「モンスター:ジャイアントトード」として、ダンジョン内に存在し得るキャラクタとなる訳です。

逆に言えば、テーマに囚われる事なく何でも彫れるという事だったりして・・・

そして二人が其々自由に彫り続ける事数ヵ月、途中の打ち合わせもなく初日を迎える訳ですが、いざ蓋を開けてみると、Galleryの展示スペースには、想像以上、テーマ通りの Netsuke Dungeon が生成されているというミラクル!

根付という土俵でロールプレイングゲームでダンジョン?What's? と、興
味を持てない方、そう、そこの貴方!
是非一度この珍味を味わいにお越しくださいませ!

あ!、そうそう、いつものヤツ、至水が製作した根付の見立てや妄想設定はまた別のお話で、そちらも併せてお楽しみ頂きたいのですモチロン♪

最後に

「潜ってみようよ Freestyle Netsuke Dungeon !!!」

【作家の言葉】道甫


フリースタイルネツケダンジョンについて

展覧会開催について企画するときにギャラリーと話し合い、至水氏と二人展することになりました。
二人展のテーマを考えるときに「ダンジョン」を思い浮かべました
私は「ダンジョン」に憧れがあり、一生のうちに絶対挑戦すべきテーマの一つとして、考えていました。
意外とその機会は早く訪れ、二人展に向けて探検するものになっていました。

私は幼稚園から高校2年まで広島の黒瀬町のベッドタウンの住宅団地に住んでいました。
適度に田舎であり広島・呉・東広島をつなぐ場所で少しずつ発展してきた所です。
周りにはある程度自然があり、アップダウンが激しい地形。河あり、溜池あり、竹林、神社、小山など、童大興奮な場所で、まるでフィールドダンジョンの様でした。
そして家では漫画や小説の蔵書が多く、父の職業(ゲームプログラマー)の関係からゲーム機(ファミコン~PS2)やパソコンもありまして、サブカルチャーの文化に至る空想の力を蓄えていきます。
大阪芸術大学では一生で一回見れるかわからないNPC兼モンスター役の学生に囲まれて過ごしたりしました。
芸術やART活動を見まわったり博物館や美術館を味わっていますと、人の考えるダンジョンというものに気づいてしまいます。
今迄生きてきてそういうダンジョンに触れあってきましたが、次第に道甫のダンジョンを作りたいようになってきました。
そして根付制作やARTに触れてきて、いつか道甫ダンジョンを作り出すと決意したのです。

制作活動はダンジョンを作ることと潜る事を同時に行う行為だと考えています。
作りたいものを手にするために、そこに向かう方法を考え、あらゆる困難(素材、締め切り、貯蓄 etc、)に打ち勝ち、時には回避して、戦い向かうことです。
そうして出来た根付はダンジョンを走破したトロフィーであり、迷って書き込んだ地図でもあり、宝物でもあります。

根付とはフリースタイル(自由)である。と常に思っています。
今まで、幾人の作家達の根付を見てきました。自由の発想とスタイル、人其々の理念と制約が含まれていました。
人によって含める価値観が違い、ある人には好かったり、ある人には受けなかったりするものです。
関りがある分、特に根付というジャンルではそう感じます。
道甫の道、至水氏の道、似ている部分や外れている部分、比較することにより、自由が生まれてくるのです。
素材、技法理念価値観あらゆる姿勢が違うからこそ、「根付」が輝いて見えるのだと思っています。
そのような自由をこの展覧会にて楽しんでもらえると幸いです。