守亜作品展

Netsuke : Fragments

2014/9/2(火)~7(日)
会期中無休




■作家のことば(守亜)

新作根付作品7点ほどと提物、いつもの根付ストラップ。
提物も含めて根付を使う生活を想定し提案したいと思っています。
今までの根付作品をリアルに塗装したオブジェ作品も展示します。

今回の作品展では、根付について改めて向き合ってみようと思いました。
きっかけはこの夏に発売になった東宝怪獣根付の原型を担当したことからです。
ゴジラやキングギドラをフィギュアでもなく、かといってストラップとも違う根付と
いう手段で立体化し、それを手頃な価格で販売したいとの企業からの依頼でした。
根付が単に小さな彫刻に紐穴があいているだけの造形物でないことはこのサイトをご
覧になっている皆様におかれましてはもはや言うまでもないことと思います。
さらに言えば根付製作の本流であるカービングによるアプローチではキャラクター造
形に必須となる版権元(今回は東宝)からのチェックと修正に対応するのは難しいと
思います。

私は根付に対して異端の方法と私なりの誠実さを以って独自のやり方でアプローチし
てきました。
裏道をこっそり通っているようなそんな感覚でいます。今でもやはりそうなのです。

ですが、最近そんな根付の裏道を行く私にしかできないであろういくつかの事柄を実
感しているのもまた事実です。
そのひとつが今回の東宝怪獣根付のお仕事でした。

また、根付本来の用途である身につけて使うということも、私の製作する根付は比較
的使ってもらいやすいのではないでしょうか。
そういう思いから今回の作品展では、根付をもっとカジュアルに使うためのいくつか
のアイテムも提案したいと思っています。

逆に鑑賞のためのオブジェクトとしての根付についてもその極北を狙ってみたいと
思っています。
簡単に言えば、リアルな塗装を施してしまおうと言うわけです。
こちらも展示方法も含めて異端の根付を提案いたします。


比喩を用いて言うならば、私の根付に対するアプローチは、江戸時代においての肉筆
画に対する浮世絵のようなものだと思います。最大の強みは量産の可能性。そしてそ
のひとつひとつの工程はあくまでも作家(職人)の手仕事である点です。

今回の作品展、私なりの根付への思いと、表現の断片をご覧いただけたら光栄です。