森 栄二 展 私の庭

2014/1/25(土)~2/2(日)
1月30日(木)休廊



■葉山にある作家の家とアトリエと庭で、静かに続いている制作と生活の情景を切り取ったかのような展覧会です。子供を描いた日々のドローイングと木彫作品を展示します。

森栄二さんは葉山のアトリエで日々ドローイングを描き、そして木を彫っています。

ギャラリーブログでも葉山便りを時折届けてくださいますが、
森さんの言葉は詩的でそして少し儚く、しっとり湿っているように感じます。

それに反し今回展示するドローイングから受ける印象は、はっとするような動きや
表情をしている小さい子。そして、パステルの鮮やかな色にも強いものを感じます。

ドローイングは日々、本人の内側を探るように描いている作業。
「子ども」である理由は子どもが好き、だからではなく、森さん自身を掘り起こす
ことのできるものが子どもであるからなのだそうです。

(Gallery花影抄・木塚多賀子)




■作家の言葉・森栄二「私の庭」

私は見ている 私は庭


暗い森を背に この場所に立つ

青みがかった淡い翳

見上げると 高く茂った木々の隙間からいつもの曇り空がこちらを見る

湿った空気は動かない 見た目にざらりと窪地を満たしているが 皮膚はもっと滲んだ手触りであることを知っている

それは 

二度と戻らない悦び 硬くこびりついた瘡蓋 こもって響くかすかな声 

小さな影は走り去り 草は鋭く指を切る

次々落ちる赤い花は地面に僅かな起伏を創り 

黄色い実にはまだ手が届かない


そして

流れ続ける水の音




私は見る 私は庭 

これが私の庭



2014.1月      森栄二