貸本屋「真似ゑもん 逢瀬を覗く」

Kashi-honya "Maneemon Ōse wo Nozoku"

題名
貸本屋「真似ゑもん 逢瀬を覗く」
大きさ
3.0 × 2.2 × 2.0 cm
素材
半磁土
価格
販売済
制作年
令和元(2019)年
管理番号
izm19070611
備考
連作「江戸千部振舞」
作品解説
「千部振舞」とは江戸時代のベストセラー本。1000部売れると大ヒット。版元、本屋は総出で氏神様へお礼参りに行ったといいます。江戸前期、上方を中心に木版印刷が普及し商業出版が始まると、本は庶民に身近な存在となります。元禄期、大坂で井原西鶴の「好色一代男」の大ヒットにより出版業界は大いに盛り上がり、江戸においても出版業者、本屋が急増しました。とはいえ、木版刷り、手作業製本の書物は高価でしたので庶民はもっぱら貸本を借りて読んでいました。内容は娯楽小説、ハウツー本、ガイドブック、教育書と多岐に渡りました。江戸後期、江戸の貸本屋は600軒を越えていたと言われます。メディアの少ない時代に書物の持つ影響力は相当なものだったと想像します。度々の幕府からの発禁処分にめげず庶民は貸本屋から読みたい「噂の本」を借りて読み、楽しんでいたのでしょう。昨今は電子書籍の普及、読書人口の減少などで「本」の在り方も変わりつつある様ですが、江戸の人々が楽しんだ小説を令和の私達が読める幸せは、当時の「本」を大切に大切に繋いでくれた歴代の「本屋さん」からの贈り物です。この連作はそういった方々へのオマージュでもあります。
「『艶色風流真似ゑもん』より、真似ゑもんの登場です。仙女から妙薬を貰い、豆粒大の小人になった真似ゑもん、色道修行に出かけ、あちらこちらで現場や出来事を見物します。今回は貸本屋の本の陰でネズミ達の逢瀬を覗いています。ちなみにフランス語で“本の虫”の事を“図書館のねずみ”と言います」(泉水)